「ろっローズさん!大丈夫ですか!?」
「師匠!?」
「ローズ?」
 先ほどまでの戦いの一部始終を把握していたのは見慣れている二人のほかにはチャーリーとネティベル、そしてエリーだけだったようだ。
 
「ローズ!?酷い熱じゃないか!!」
 突然倒れたことに一行とロードクロサイトらも驚いたが、
一番驚いたのは初めに攻撃を仕掛けたキャシーの祖父だった。
倒れてきたローズを支え額に手を当てると目を見開き横抱きに抱きかかえる。
「ファイター?」
 突然具合が悪くなったことで朦朧としつつキャシーの祖父の顔を間近で見たローズはまさかと呟く。
「もっと早く具合が悪いって分かってんだったら攻撃吹っかけないさ。アーチャー!氷。」
 キャシーに水を汲んでくるよう言うと唖然としている一行をあぁ、すまなかったと謝る。
「え〜〜っと…ローズとはその古い仲でね…。一撃でいいからこいつにダメージを与えたかっただけなんだ。」
 とにかく外に居ないで中にどうぞと促され中へ入るとキャシーの祖父ことファイターは寝室へと急いだ。
 
 
「あらら。久しぶりに会ってあの時のお返ししようと思ったのに…本当、体弱いのねぇ。」
 右目を髪で覆い隠した初老の女性は横に寝かされたローズの額に手を置き考える。
「ん〜…あら、あなた白魔導師ね。薬草の心得はある?」
 突然話しかけられたネティベルは一応はと答えると、
じゃあ普通の風邪に効く薬を調合してと薬草が入った箱を差し出した。
「普通の…でいいのかしら?」
 古い仲というにはローズについて知っているかと確認をすると、
分かっているけどもいいのよという。
「えぇ、人に効くのでいい。」
 それでと、いまだローブを被ったままのロードクロサイトとキルを示すとここに残るようにいい、キャシーが汲んで来た水を受け取る。
「あたしもローズとは古い仲。ひと段落したら行くからそれまで孫たちの面倒を見ていて。」
 とりあえず今の戦いで服汚れているからとファイターとキルがローズを着替えさせる。
ネティベルは背を向けたまま薬草を確認するのに夢中だ。
 
「あ、ぼっ僕も何か出来たら…。」
 退室していくメンバーで最後に出て行こうとしたチャーリーは何かできることはと振り向いた。
熱で朦朧としていたローズははっと気がつくと左胸を隠す。
「失せろ!」
 ゲホゴホと咳き込むローズだが、青と黄の瞳がギラリと光る。
弾かれるようにして部屋を出たチャーリーだが、一瞬見えてしまったローズの左胸の痣に覚えがあり自分の左胸を押さえた。
でもまさかあるはずがない、見間違いだろうと頭を振り他のメンバーがまっている場所へ向かった。