「それにしても、ネティベルさん…でしたっけ?貴女作るのうまいね。
もう熱が下がってきてる。」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。ところで…
プリーストってプリースト=ヘアリン?」
薬草を片付けたネティベルは手を止め確認するように言う。
「あぁ、懐かしいな。」
「ローズ、ソーズマン、プリースト、シャーマン、ファイター、そしてあたし。
その6人と時々魔王が加わった妙なパーティーだった。」
「私は別に加わっていたわけじゃあない。
魔物を召喚するのに私の魔力を座標にした方が早く呼び出せたからな。」
そういえばそうだったなとファイターはやっぱお前が全部悪い、
とロードクロサイトを指差す。
「今まで魔王様が相手したパーティーでは最高だったと聞きますが…。」
「へぇ!?そうなのか?魔界ではそんな風に俺達記憶されていたのか?」
少なくとも魔王軍内と自分が勉学のために通っていたところでは、
そう聞きましたというと、ファイターとアーチャーはそりゃあ凄いことだったなという。
「戦闘のセンスがずば抜けていたからな。
実を言えばあの時私は本気を出していないといったが、
最後には本気を出し全力で相手していたな。」
今はほとんど本気を出せないからなというロードクロサイトに、
アーチャーはやっぱりとため息をついた。
ふと、驚いた表情のまま固まっているネティベルに気がつき、
彼女の話の途中だったと思い出す。
「あら、歳をとるとどうも自分の話に花が咲いてしまうわね。
プリーストがどうかした?」
「プリースト先生は…私の師匠です…。あなた方は以前パーティーを組んでいたの?
このローズは以前“何”だったんです?」
魔物のローズと人間のパーティー。
だが彼女達の口調から考えれば同じ“人間だけ”のパーティーにしか聞こえなかった。
しかし…ローズは魔物だ。
「ローズはローズだ。今も、昔私と剣を交えた時も。
詮索するのは自由だが、本人に問い詰めるとどうなるか…私は知らないぞ。」
ファイターとアーチャーが答えるより前にロードクロサイトは昔の話をしすぎたなと、ローズの傍らに座った。
そのまま額に手を当て魔力を流し込む。
「あ、僕の魔力も…。」
慌ててキルもローズの手を取ると魔力を少量流す。
魔力が減っているのには気がついていたが、
今はそれよりも自分の中でもたげた疑問を解明したいとネティベルは老夫婦を見た。
だがファイターもアーチャーも首を横に振る。
「むかつくが魔王の言うとおりだ。少しローズが嫌がるような昔話をしすぎてしまった。
もう過ぎた話だ。気にしないでくれ。」
「さ、病人は静かに寝させとくとしてキャシーが待ってるから早く居間に行くよ。」
魔力を流し終えたロードクロサイトとキルは先に立ち上がると部屋を出る。
まだもの言いたげなネティベルにさぁさぁといい、
アーチャーが部屋の外へ出るとファイターはしばらく看病していると残った。
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