「まったく退屈だわ。お遊びにもならない。弱いということを認めず、
 かなわないと知りながらもなおも挑む。
 貴方たち人間は自分の力量もわからないほどおろかなのね。」
 赤い髪をなびかせチャーリーの刀をはじく。
上げられるようにはじかれ、隙となってしまった腹に
キャシーに入れたよりも強い肘を入れ弾き飛ばした。
「ハイジィユ《高治癒》」
 すぐさま治癒呪文が唱えられ、チャーリーはなんとか踏みとどまったが
ただの肘鉄の威力に愕然とする。
 
遠すぎる…実力も何もかも。
   
 
 何も言い返さない一行にずっと微笑み、小ばかにしていたシィルーズの目の色が変わった。
軽蔑するような蔑むような…汚らわしいものを見るようなそんな視線に場の空気すら凍りつく。
一体なんでと、ネティベルは考えるがわからない。
何が気に障ったのか。本当に人間を軽蔑しているからなのか。
 
「もう貴方たちと相手するのも飽きたわ。さっさと終わりにするわよ。」
 短剣をしまい、椅子に刺した剣を引き抜く。
すると再び頬にあざができ、右腕に結晶の篭手がついた。
 
「全てを覆いし闇よ。我剣に風となり覆い尽くせ。瞬速剣 死風闇鎌鼬」
 剣を振るうと黒い斬撃がチャーリーたちを襲う。
とっさに光魔法で相殺するチャーリーだが余波だけはまともに食らってしまった。
だがそのダメージよりもその技名と構え方に驚く。
多少の差はあるが祖父、ソーズマンとほぼ同じ。
はっ、と剣をかかげると重い音が響き同時に強い力で押される。
目を上げればすぐ目の前に冷たい輝きを放つ碧眼がありどっと冷や汗が出る。
 
 震える腕にざわりと空気が変わり、碧眼がギラリと光る。
鋭い犬歯までもが伸び、はじめて見る元仲間の顔に、
はじめて見る師匠の顔に、ロードクロサイト以外は驚き、思わず後ずさる。
 
『      』
 
 シィルーズは何かに怒りを覚えているのか吐き捨てるかのように言葉をつむぐ。
だが、その言葉はロードクロサイトですら知らない、ごく一部の者のみが使える天の言葉。
チャーリーもわからないがその言葉から自分に来る嫌悪感だけは理解できた。
腕に力を入れるのに必死になっていると突然引いた刃にひるみ、
死角から繰りだされた足をまともに頭に受け、チャーリーはその場に倒れた。