「プリースト先生!!どうしてここに…。」
「ネティベル、元気だった?あなた達が戦闘不能になって教会に飛ばされたって聞いたから…。」
茶色の髪をした女性は弟子に微笑むと自分を凝視するかつての仲間を見た。
「ファイター!アーチャー!久しぶり!」
「あっあぁ…。久しぶり…。プリースト…なんでお前…。」
どうして、と繰り返すファイターと言葉を失ったままのアーチャー。
「あぁ…後で話すわ。まずは託けがあって。えぇっと…貴方がチャーリー君ね。
はじめまして。私は最上階級、熾天使プリースト=R=ヘアリン。
私たちの主からの託けを承ってまいりました。
神山に行き、遥か頂へ。汝らの望みしものを授けよう。
それがこの世界の神様からのお告げです。神山までの道のりは私がご案内いたします。」
優雅に挨拶をするプリーストにチャーリーは驚いたようにうなずく。
宿に戻りましょう、というプリーストはファイターとアーチャーの元へやってきた。
ふわりと短い距離を一行の上を飛ぶプリーストに落ち込んでいたキャシーは目を輝かせた。
「すごい、天使様!!」
そう。プリーストの背には純白の羽が生えていたのだ。
そして外見も旅をしていたころとまったく同じ16歳の姿。
彼女はロードクロサイトとキルを向くと横にいるローズに目を留め、眉をひそめる。
あ、やばいとキルはタマモを見るがさすがにローズの代役は荷が重いらしい。
なんでこうも続くんだと、ため息をつくと一瞬思案していたタマモは久しぶり、と声をかけた。
「久しぶりね…。」
一行に怪しまれないよう口裏を合わせたプリーストだがひとまず宿にと向かう。
「神山というのは少し離れたところの大きな霊山のことです。
そこには神の証を持つ勇者一行でしか入ることはできないいわゆる修行する所です。
その頂まで来なさいと、そういわれておりました。
地図で言いますと…この先のフジべレストのことですね。」
本日は準備をして明日ご案内いたしましょう、
というプリーストにうながされそれぞれの部屋に戻ったり武器を買いに行く。
残ったネティベルはうなずくと話しかけようと近づくがプリーストに押しとどめられる。
「ごめんなさいね。ネティベル。ファイターたちと話があるから…。後でね。」
そういい、部屋からだすとさて、と振り向き窓辺にいる偽ローズの元へとやってきた。
「貴方は一体だ…れ…」
そう言いかけ突然ボン、という爆発音が響きもうもうと煙が出る窓辺を見る。
煙たそうに手を払うロードクロサイトに二人分の咳き込む声が聞こえた。
「げほっ…ごめん。呪文失敗した…。すっごい煙い…。」
「ジキタリス殿・・・げほっ…言ってくだされば変わったのに…あぁ…妾自慢の毛皮が…。」
もうもうとした煙が晴れて来ると銀髪の男が大小2人現れる。
小さいほうの影は赤いバンダナを巻き、銀髪というかシルバーブロンドの髪をしたもう一人の九本の尾についたほこりを払う。
「まぁ先日の約束を守ってくだされば…。妾には過ぎた褒美ですゆえ。」
「あ〜うん。わかってるよ。ひとまず、その話題はここで話さないでくれる?」
冗談じゃ、というタマモにローズはため息をつくとじっと見つめる視線に気がつき、プリーストを見る。
「体調はもういいのか?」
かなり消耗していたため、体調を気遣うロードクロサイトだがローズは目の前のことで驚き反応が薄い。
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