「えぇ、はいまぁ…。…いや、まだ体調悪いかもです…。
 おもいっきし毒殺魔の幻覚が…ったっ〜〜!!!」
「あら、うっかりネティベルに持ってきた魔道書に変な銀髪と血をつけるところだった。
 あんたってば久しぶりに会ったといえば…そういえば体調が悪いそうね。
 あ〜よかった薬持ってて。ほいっ!バカ。」
 ぽんと、丸いものを口めがけ投げる。
それを条件反射のように馬鹿はどっち!と言い返そうそうとしたローズはそのまま飲み込み、すぐさま苦い、と咽るが薬はすでに飲み込んでしまって出ない。
「あら、相変わらずね…。仲がいいというか…。」
 せっかくの薬吐き出さないでよね、
といい再び魔道書の角でローズの頭をはたく姿にアーチャーはため息混じりに笑う。
その声に軽く叩いていただけのプリーストは慌てたように顔を赤くし、
勢いよく分厚い魔道書を振り下ろした。
「ばっばか言わないでよ!わっ私が魔物となっ仲がいいとか!
 そっそんなこと絶対ないんだから!薬だって本当にたまたま持っていただけで…
 神様からはいないって聞いていたけど一応持ってきたって言うか…。
 かっ勘違いしないでよね!アーチャー!」
「…ローズ。大丈夫か?」
 ゴツッというかドガッというべきか、本来本を落とした程度ではならないはずの音を受けたローズはプリーストと床に書き残す。
 
「…元気そうだな。それで…。あれは幻術だったのか?」
「…プリーストの話のほうが重大じゃあないんですか…?
 まぁ幻術ではなく光魔法の禁術ですよ。自分の体を一時的に作り変えたんです。
 でなきゃあんなに疲れませんよ。」
 不調でなければあの見掛けだけのものなら数日間は持つのですが、
と答えるローズにロードクロサイトはあぁ、と納得した。
「いや、幻術にしては髪の匂いが違うし、軽いし柔らかかったから変だなとは思ったんだが…。」
「……見かけだけでよかった。そして不調でよかった…。」
 ううっ恥ずかしい…と嘆くローズは下手に何日間もあのままだったら…とうなだれる。
本来ならそれはそれで彼の想いがなしえたと言うことで喜ぶべきなのだろうが…。
 
 
「まだそんな馬鹿言ってるわけ!?」
「痛いっ!そんなに叩かないでってば!プリースト!」
 魔道書を振り下ろす腕をつかみ、痛いってばというローズは軽く睨むようにプリーストを見る。
その顔の距離にプリーストは顔を赤くしたままパクパクと口を開け、聞いてる?
というローズに再び馬鹿!というと残されたほうの手を振り上げた。
その腕もつかんだローズはまったくと、言い顔を覗き込む。
そのとたん、ボヒッと音が聞こえそうなほど一瞬で顔をさらに赤くしたプリーストはううっ、と目を潤ませる。
「えぇ!?なっえ!?ちょっ…なっ…」
 うえ〜んとローズに抱きつき泣き出したプリーストにローズは助けを求めるようにロードクロサイト達を見るが誰も助け舟を出さない。
 
それどころか
「自業自得だろうが。」
「女の子泣かせるなんて…。」
「師匠…女性を泣かすのは最低ですよ。」
「ソーズマンにあったら話してやらないとな。」
「女性を泣かすのはよくないことじゃな。」
 と言われてしまいローズはえぇえ!とまだ動揺したままどうしたらと焦る。
「あのさぁ…プリースト…?なんで天界人になって…。」
「だっで!だってローズは魔界人でしょ!わだし人間だとお婆ちゃんになっで…
 ロ〜ズだけ若いままで…。
 ローズみたいに特異体質じゃないと元々人間から別の生物である魔界人にはなれないっで…
 だから…だから近い天界人になったの!」
 顔をあげ涙声でいうプリーストは再びローズにすがりついたまま泣く。
「頑張って下界に降りられるようになって…
 それまでローズが人間界にいるときいっつも光の泉ですがだみでて…
 でもこっちには長くいられないがら…。会えて良かったの!!!バカッ!」
 ふえ〜と泣き続けるプリーストにローズの思考が停止する。
えぇっと、と言うローズはひとまず彼女を引き離す。