どうにか前髪を取り返したローズは魔王様のためなら、と目を輝かした。
「はい〜wすみません。えぇっとわかりやすくというと、
 神山に入るのは魔物でも出来ます。
 ただ光の力が強いので僕や魔王様、キルやフローラそれにキスケ…
 とまぁ魔王軍上層部でないとほぼ途中で死ぬか大ダメージですけどね。
 その頂上には神殿なんかで得た勇者の紋か、天性の勇者の紋が必要なんです。
 でもこれでは万が一死んだ勇者引っ張って来た四天王とかが入ったらまずいので、
 神殿で得た場合は自分で光の召喚獣を出して門をあけてもらわなきゃいけないんです。
 でも天性の…まぁ僕の場合は歌うことで生きた勇者であるという風に証明するんです。
 歌えないんだったら…。来い、チアンマ【天馬】」
 ざっと説明するローズは指を鳴らすと天の翼を持った白馬を呼び出した。
初めてみたキルとタマモはおぉ、と感心ししげしげと眺める。
なによりジミーのような召喚術の詠唱なしで呼び出すのは普通では難しい。
 
 すぐに消すとそれでと続ける。
「天界人は皆歌に力があるんです。それと光属性の魔法も。
 で、問題は…プリーストは…その…。」
「どうせ音痴ですよ!!!だから歌いたくないの!!陰でローズが代わりに歌って!!
 でなきゃ勇者一行は強くならないよ。私知らないよ。
 困るのはそこのロードクロサイトでしょう!!」
 言いよどむローズに今度は別の意味で顔を赤くしたプリーストが叩く。
だから叩かないでよというローズをよそにロードクロサイトは考える。
 ローズが勇者であるということで得た“歌”。
それは普段ロードクロサイトが禁じている、
というか控えるよう言っているため自分の言葉なくしては歌えない。
 
 
「ローズ。天界には行かせるわけに行かないが、歌うだけなら許可する。
 別に衰えたわけではないだろう?」
「ロードクロサイト様がそうおっしゃるならいいですよ〜w」
 あっけなく許可されさすがにプリーストもファイター、アーチャー同様にずっこける。
「すぐ承諾してくれるなんて…。ソーズマンがいたら言うと思うけど…この馬鹿!
 いろいろ考えてきたのに!!!」
「え?だって僕がロードクロサイト様もとい魔王様の頼みを承諾しないわけがないじゃんか。」
 もうどうでもいいわ、というプリーストは魔道書を奪い返し、
はぁとため息をついた。