【あ〜〜…痛いし…だるい。すみません。ちょっと横着して経験値コピーしました。】
どうです?という声が聞こえスバルナは思わず足を滑らせかけた。
【あぁ、ローズか。なんだ死んだふりか?】
【気絶したフリです。まぁ…今さっき食らったわき腹は本物ですけど…。
どうです?演技って言うのは敵味方両方騙せるものでないと。】
動かずにいるの結構つらいんですよ、と飄々とした様子でロードクロサイトに告げる。
心底呆れるキルとなるほど、と手を打つロードクロサイトにローズは念話で笑うが
すぐさまむせこみ、はぁ〜とため息を吐いた。
【全然平気じゃないじゃないですか。傷のほうは大丈夫なんですか?】
【脇?まぁなんども切られたりしてるから皮薄くて。慣れてるから平気だよ。】
キルの声に大丈夫というがそこじゃないという。
【左腕ですよ。箸もてないですよね。
それに元々は左が剣を握る手じゃなかったですか?】
さっきの見てました、というキルにまいったなぁとローズは内心頭をかいた。
【あ、ばれてた?そうなんだよね…。2週間ぐらい麻痺ってそうなんだよね。
剣は右でも別にいいから。まぁ…そこはほら、魔王様がこう…食べさせていただけれ】
【調子のるなあほ。魔王様、お気になさらずに。
ところで…あれ大丈夫なんですか?経験値を注ぎ足すとか…。】
できることなら頭をはたきたいキルだがすぐさま話題を変える。
幸いロードクロサイトの耳には届いていなかったのか、キル同様にどうなんだという。
【あぁ、横着したので明日あさっては筋肉痛やらすごいと思いますよ。】
楽しげにいうローズに自力で鍛えさせられ、
むごい筋肉痛になったのを思い出したキルはぞっと身震いした。
自力で得た力であれだけ筋肉痛になったのだ。
めんどくさがって自分の経験値を注ぎ込み動かせるよう得た力では…
体が頭についていかなくなるのでは、と明日の筋肉痛を思い浮かべる。
【なんともかわいそうに…。】
【ん?キルには無理だよ?これ勇者の紋の特権。共鳴反応で渡したんだ。】
ほしかった?というローズの楽しげな声にキルは慌てて首を振る。
【で、ローズ。チャーリーのレベルはどうなったんだ?】
【一応レベル70相応にはなったと思いますよ。
ただ…もしかしたら僕が元勇者って言うばれたかもです。というか…ばれた?】
ロードクロサイトの言葉にローズは少し考え、首をひねる。
この場にいたら頭をはたくところだなと、
ロードクロサイトは思うがここはひとまず抑え、大きく息を吐いた。
【で、背後からでかい猫が口広げているが…大丈夫か?】
おそらく戦闘不能になっているローズをどこかはなれたところに移動させようとしているのだろう、ムファスカーを言うと気がついていなかったのか慌てた声でローズは叫ぶ。
【えぇぇ!!??ちょ…首になんか滴り落ちて…
すみません、ちょっと念話に集中できないです。】
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