狂気の異名

 

 炎をまとった斬撃により冷気が和らげられ、
ほっとするがこの状況どうにかならないものかと髪を揺らさないようため息をつく。
チャーリーの剣の扱いには文句がいくつもあるが、それよりもこの温度差をどうにかしないと本気で体調不良になると、ローズは辺りに意識を向ける。
 ざわっ、と耳を疑い地面に強く耳を当てていたローズは演技している場合ではないと飛び起き
チャーリーを抱えその場を離れる。
「えっ!?ろっローズさん、大丈夫なんで…」
「気絶している場合じゃないよ。なんだってこんなタイミングで…。」
 突然ことで驚くチャーリーだが、ローズはぶつぶつと呟くだけで答えない。
首をかしげるチャーリーだったが、地上にいた魔獣や先ほどまでの副将が急に移動を始めたことでようやく気配に気がついた。
草原の一部が黒く歪み、大きな影が絞り出てくる。
「あれはたぶん闇の集合体って言うようなものかなぁ…。」
「集合体!?なんだか姿が…。」
 すこしはなれた場所にチャーリーを下ろしたローズは徐々に姿を固める黒い塊に頭をかく。
黒い野牛のような角を持ち、一つ目の巨人…闇サイクロプスは手に持った棍棒を地面に叩きつけた。
「…チャーリー君光魔法大丈夫そう?
 こういうのって光属性の攻撃しかまともにダメージ与えられないんだよね。」
 やばいなぁというローズにチャーリーは首を振る。
「光魔法ですか!?中級までしかとなえられませんし…上級はまだ使ったことが…。」
 米神に手を当て考え込むローズにチャーリーは自分の手を見つつ考える。
ローズはローズでロードクロサイトに念話を送っていた。
 
 
 
【というわけで、魔王様の属性じゃあ倒せないんですよ。
 チャーリーもそこまで高等呪文できないそうで。】
【剣の属性は光だろうが。そでじゃあだめなのか?】
 少しの間考えているのかローズの念話には唸るような声が入り、
ロードクロサイトとキルは顔を見合わせた。
キルにいたっては結界で姿を消せばと思うがそういうわけには行かないなと、考える。
「キル的にはどうみる?」
「そうですね…。光しか効かないというのはまぁあの闇の度合いからわかりますが…。
 近い雷撃でも効くのではと思いますが。魔道系だとそれは逆効果ですからね。
 普段なら師匠様には光魔法をやってすぐ倒してくださいというのですが…
 やはり面倒が起きてはあれですし…。」
 はっきり言って判断材料不足です、
と言い切るキルにだよなぁとロードクロサイトまで同意する。
【無理ですね。まぁ一応やってみますがどうでしょう?
 もし無理だという時は結界で僕らを隠してくれませんか?
 ネティベルとかにばれるとうるさいんで。チャーリーぐらいでしたらまぁ…
 軽い幻術でいけるでしょうし。】
 許可をくださいと、ロードクロサイトに催促する。
しかたないと、承諾するとすぐに結界をローズたちを覆うように張る準備をする。