跪き、礼をとるキルに3人と一匹は立ち上がり傍へと行く。
「ようこそ。魔界のトップへ。これから忙しくなるだろうけどがんばるんだよ。」
「ようこそ。苦労が絶えない頂点へ。そう硬くならなくてもいいわよ。
そのうち嫌でもじが出るんだから。とくに何処かの長髪コンビとか…ね。」
「ちゅうちゅっちゅちゅっちっちゅう(あたちもまだ就いたばかりだから一緒にがんばろう。)」
 先輩四天王である3人に声をかけられキルは気を引き締める。
だがフローラの言う長髪コンビとは
…いやまさか。
 
「これでやっと久しぶりに四天王が揃ったな。よし、今日はパァッと祝いでも。」
「いいですね、それじゃあセイに準備を。」
 楽しげなロードクロサイトと、彼に妙に近寄るローズが意気揚々と祝いの席について話し合う。
 
 
「魔王様、先日言いました机の山。半分には減ったでしょうか?ローズ。
セイとハナモモに任せている資料、重要書類も含まれていたはずですが目を通したかしら。」
 2人の背後から肩を掴むフローラは微笑んでいる。
だがその微笑がけっして楽しい笑顔というわけではないことは明白。
うなだれる2人を外へと放り出したフローラは唖然としているキルに今度は笑顔で微笑んだ。
 
 
「ごめんなさいね。明日の晩、ご両親や親戚を交えての就任パーティーを開きましょうね。」
「…父がまだホッドミミルから帰っていないのですが…。」
 まぁいないほうがいいと語外に言うキルに、戻ってきたローズが何かを思い出したかのように手をたたく。
「あぁ、やっぱりそうか。まぁあんまり悪く思わないでほしいんだけど…どっか別のところ異動させられないかな…。何か特技とか…。」
「不幸を他人に撒き散らすこと、迷惑をかけることです。先日は父がご迷惑をおかけし、まことに申し訳ありません。」
 深々と頭を下げるキルにローズは大丈夫と声をかける。
「いや、別にいいよ。あいつの脳細胞はどうやら遺伝してないみたいだし。
あぁ、そうだ。策士の方には…まわせないかな?昨日は危うく…だったからちょっと戦いには向いてないかもしれないなぁ〜と思うんだけど。」
「…馬鹿みたいに母と出会った事や、生き延びることに関してだけは運がいいようで…。
父の異動はしばらく見送っていただくわけには行かないでしょうか?」
 まだ引継ぎの仕事もある上に新たに勉強しなければならないことが山ほどある。
そんな忙しいときに世話なんてしていられない。
「別にいいよ。しばらくは罰で雑用しているから。まぁいろいろ忙しくなるから今頭痛の種増やすのは得策じゃないしね。」
「ローズ、さっさと仕事終わらせてきなさい!!」
 フローラに怒鳴られローズはその場でするりと壁に吸い込まれるようにして姿を消す。