「もしかして貴方が自分と蛇をくっつけたのかしら?」
「だって仲良くなる薬って…。」
「それは冗談。大体、家の薬とか魔道書とか違法なものしかないんだから
 触っちゃ駄目だっていたでしょう。」
 頭が痛くなるわ、と言うネティベルと、思わず黙ってしまったアルダ。
違法なものを所持していることはまぁ、セスに押し付けるとして……
 
この子が原因かい!
 
「この子、目と頭が悪くて……。魔力はかなり高いのに。
 おつむの方はあれに似ちゃって可哀想なの。」
 よしよし、と頭を撫でる母は辛辣な言葉を並べ、息子はなぜかエヘヘと笑っている。
確かに頭悪い。
 目が見えていないことに…眼鏡がないことに気がついていなかったのかとネティベルは呆れ果てた。
「誰が馬鹿だ!俺様の作った魔道具はかなりの高評価なんだぞ!」
「その代わりくだらない発明も多いだろうが!!」
 ナギリーの言葉に怒るヴォルトに負けずと怒るセス。
お互い頭にきたのか、拳を振り上げ…。
 
 
「まぁまぁ。ってか姉さん…久々の再会でこれは無い…ぶべしっ!!」
 突然ぼろぼろの青年が間に入り、大人気ない二人の拳をまともに両頬に貰い、
姉のベッドへと吹っ飛んでいく。
「イチイ、まだ病み上がりじゃろう。体調はどうかの?」
「アッアルダ様……今この状態で聞きますか……。」
 姉による治癒呪文がかけられるが、唯優しさではなく、
自分が殴り飛ばしたいからだとわかったのは回復後、投げ飛ばされてからだ。
止めを刺すかのごとく拳を握るネティベルをやんわりととめるのはもちろんアルダだ。
「わしもちゃんと伝えなかったのが悪いんじゃ。オウリアンダー、すまんかったのぅ。
 お詫びになにがでるかなキャンディーを…。皆もどうじゃ?」
「「「丁重にお断りする!」」」
 ごそごそと懐から”飴ちゃん入れ”と書かれた缶を取り出すアルダに被害者の声が一致する。
 
 なにがでるかなキャンディー。
お菓子が好きなアルダの開発だが、本当に何の味が出るのか…。
一体どうやって作ったのか誰も知らない。
 最初苺味だったが、次に食べた時生魚の味だったネティベル。
 初めて食べたのがドリアン、無理やり食べさせられた2粒目はハバネロだったセス。
 置いてあるのを何気なく食べたヴォルトは涙が出るほどきついミント味。
 その3人はまだ食べたことの無い哀れな少年と青年、そして夫人に目を向けた。
3人の声に驚いたようだが、進められるがままに白い飴と緑色の飴、桃色の飴を口に入れた。
 
「なんと!!今日は運がいいのう。山芋じゃ。」
 ニコニコと笑うアルダだが、初めて食べた二人は顔色をさぁーっと青ざめさせた。
被害者が増えた。