とりあえず4人が案内された食堂に入ると豪華というわけではないが、普通の食事が出される。
「一応、毒などは入っておりませんのでご安心ください。
 この城下にも多少ですが人間は住んでおりますので。
 第一に、アクアリウス様に害あれば困るのはわたくし達ですから。」
 ハンバーグにニンジンの添え物。
ごく普通のものに一行は手を出せず何の肉だろうかと疑いの目を向ける。
 その様子に声をかけるフェンリだったが、はいそうですかと食べれない。
ふと、アリエスは自分の皿にニンジンが増えていることに気がついた。
ちらりと目を動かすと素知らぬ顔をしているサジタリウス。
彼の皿にはニンジンがいない。
「サジタリウス。俺の皿にニンジン入れた?」
「べっつにー。あんな赤い根っこ食いもんじゃないし。おいらは美食家なんだ。あーんなもの。」
 じろりとにらむアリエスにサジタリウスはそっぽを向く。
その言葉にキャンサーはこわもての顔を思いっきりしかめる。
「食べ物残すのはよくねぇぞ。大体、サジタリウスの食べる芋虫は普通美食家の食べるもんじゃねぇだろうが。」
「甲虫の幼生はそんじょそこらのもんと違ってめっちゃうめぇんだぞ。
 貴重な蛋白質元だぞ!しかも無料で手に入る…。
 一対の番があれば10匹は生産できる…これほどいい金の節約があるんか!?」
 顔をしかめ、嫌そうな顔をするキャンサーにサジタリウスはローブのフードがずれ落ちるのも構わず、拳を握っての力説をした。
 一行のそんな食事(?)風景を見ていたフェンリはサジタリウスをマジマジと見つめた。
白銀の髪に赤と金のオッドアイ。
珍しげなフェンリにサジタリウスはその視線を感じ、振り向いた。
「何じろじろ見てんの。」
「いえ、白狼族の義弟を思い出してました。
 それよりさっさとくわねぇと片づけできねぇんだよ猿共。
 俺の勤務時間延びんじゃねぇよ。」
 フードをかぶりなおすサジタリウスにフェンリの暴言が飛ぶ。