普通に一行と共に食事を取るアクアリウスはつまらなそうに一行の様子を見る。
「何じろじろ見てるんだよ。」
「さっさとこの馬鹿げた旅を終わらせて城に戻りたいんだ。どこか寄るのならばさっさとしろ。貴様らと違って私にはやることもあるし、第一に人間らの生活なんて味わっていたくはない。」
 のんびり朝食後を満喫していたアリエスは段々と不機嫌そうになっていく魔王を睨み付ける。
 まぁ確かに原因は自分たち一行の…というか白魔導師の不手際が原因だ。
だとしても魔物の頂点である魔王に言われたくはない。
「人間の世界にいるのなら人間に合わせろよ。俺だってお前なんかと旅なんかしたくねぇし。」
「私を何だと思っているんだ。お前だったら魔物の生活に慣れろと言われたら慣らすのか?できもしないことを強要するな。」
 アリエスの言葉に不快気に眉を寄せるアクアリウス。
何だと、と睨むアリエスだが魔物に合わせるなんてまっぴらごめんだ。
アクアリウスをにらんだ後荷物を取りに行く。
 
 
 ゴブリンを倒した後、子供達はどうなっているのかとアリエス達は村長のもとへと向かった。
村に来てからというもの、子供の姿を見ないことにピスケスは首をかしげ、辺りをうかがう。
「へ?あ…あぁ、以前はありがとうございます。」
 急に訪ねてきた一行に驚く村長はゴブリンを倒した礼を改めてする。
だが、やはり子供の姿はない。
「子供達って…結局見てないけど元気にしてる?」
「そっそれが…。山に子供たちだけで入ってしまって。探そうにも急に誰も中に入れなくなったんですよ。だから困っていて。」
 助けたときも姿を見ていない、とアリエスも首をかしげていたが村長の言葉に驚き、思わず身を乗り出した。
「そんな…。以前ゴブリンがいた山ですか!?まさかまだ残党がいたなんて…。僕らで見てきます。心配しないでください。困っている人を見過ごせませんから。」
 拳を握るアリエスにキャンサーも同意し、サジタリウスとピスケスも頷く。
アクアリウスだけは村長の家に入らず、外にいたが中から聞こえる声に何かをつぶやいた。